Mad dog's tea party
〜ユウウツな雨降り休日の過ごし方〜

- 1. DARJEELING-


昨晩寝る前には、雨なんて降っていなかった。
なのに、目覚めて窓から見上げた空は、断続的に雨粒を下へと落としている。
せっかくの休日なのに、これでは予定していたことのどれもが消化でき無ないではないかっ!

まず一つ目。
留守がちな直江の為に、平日にはできない布団干しをすること。
ベッドなので敷き布団こそないが、せめて上掛けぐらいは日に当ててやりたかった。
次に二つ目。
いろんな事情があって取り替えたシーツを洗うこと。これはできるだけ早くやっておきたかった。
まだある。三つ目。
日頃の運動不足のため、今日は車を使わずに遠出すること。
その為に昨日から泊まりに来ていたのに。
…これはかなり楽しみにしていた事なだけに、残念でならない。

なのに、雨。

今日は一日、何をしよう…



「何をブツブツさっきから言ってるんですか?」
直江は最前から起きていたらしく、目覚めると同時に何やら考え込んでは独り言を言う高耶をしげしげと見つめてきた。
「だって、雨が降っているんだぜ」
「そのようですね」
「そのようですね…って!そりゃおまえは、雨が降っていようが晴れていようが関係ないんだろうが、オレにとっちゃ
大問題なんだよ!」
「大問題…ですか…」
「そうだ。おまえみたいに休日はボーっとしているわけじゃないからなっ。
色々とやることがあって大変なんだよ、オ レ は !」
「酷いですね。別に私はボーっとしているわけじゃありませんよ」
「だったら何しているっていうんだよ。どうみたってぼーーっとしているだけじゃないか。メシの支度をするわけでもないしさっ」
雨の為に計画が台無しにされた高耶は、これ以上に無いほどに機嫌が悪いようだ。その矛先が目の前にいる直江に向かうのだから、直江にとっては良い迷惑だ。なのに…そんな高耶さえも可愛いと思ってしまうのは、直江が直江だからだろう。
「ぼーっとなんて、してませんってば」
「だったら何してるっていうんだよ」
「考えているんですよ……あなたのことを、ね」
言いながら隣りに横たわる高耶の身体を抱き寄せた。
「いつもこうしたいって、考えているんですよ。あなただけのことを」
直江の手が、昨晩の名残のまま何も着けていない肌の上を滑っていく。
「……!!バカッ!おまえのそういうのは妄想っていうんだよっ!!朝っぱらから盛ってんじゃねー!!!」
やっぱり今朝の高耶は機嫌が悪かった。
そのまま殴りかかられる勢いだったので、直江も今回は大人しく引き下がることにしたらしい。
「もう起きるっ」
不機嫌そのままに言うと、高耶は手を伸ばしてベッドの下に落ちていた下着を拾って身につけた。そして、パジャマも。
「あ、それは俺の…」
「うるせー」
自分のものが見あたらなかったのか、直江のパジャマの上着だけを羽織ると、高耶はさっさと出ていってしまった。

「そんな恰好をして…。高耶さん……俺の忍耐を試しているのですか…ッ!」

ごちりながらも、直江はいそいそと残されたパジャマのズボンを履き、高耶の後を追っていった。


***


リビングに行くと、そこには期待していた高耶の姿はなかった。
変わりにすっかり着替えを済ませ、隙のない彼がいた。
「…もう着替えてしまったんですか…」
残念そうに呟く直江は、ソファーの上に放ってあった自分の上着を身につけた。

「あ〜あ。つまんね〜。こんなに雨降ってちゃ何にもできないよな…」
朝食を済ませ、手持ちぶさたになったようだ。椅子に腰掛け、顔をテーブルに乗せながら高耶がさも残念そうに呟いた。
窓の外に見える雨雲を睨んでみるが、そんな事をした所でこの曇天の空は晴れることはない。
高耶は今朝から何度目かの溜め息を深くついた。
「何もしなければいいんですよ」
ソファーに座り、本を読んでいた直江が唐突に言った。
「え?」
「だからね、こんな日には何もかも諦めてゆったりと部屋の中で過ごせばいいんですよ」
その言葉に少し興味を持ったのか、高耶は突っ伏していたテーブルから顔をあげてきた。
「ゆったりって…例えば?」
「そうですね…」
ふと考え込む直江。
「お茶」
「お茶?」
「そうです。お茶といっても、日本茶ではなくて、紅茶なのですが。高耶さん、紅茶といえばどこの国を思い浮かべます?」
「紅茶か…そうだな…イギリス…かな?」
「そう、紅茶と言えばイギリスですよね。そのイギリス。年間通して天気は概して寒く、雨も多いんです。だからきっと出かけられない日は家の中でゆったりとお茶を飲んで過ごすんでしょうね。もっとも、イギリス人が毎日昼下がりにスコーンやケーキなどを並べてはアフタヌーンティーをするというのは俗説に過ぎないようですが…」
「ふ〜ん。で?」
「今日は美味しい紅茶を沢山煎れてあげますから、英国紳士にでもなった気分でお茶を愉しみましょう」
普段は専らコーヒー専門の直江だが、どうやら紅茶も好きなようだ。
この様子だと、かなり美味いものを淹れてくれるのだろう。と、期待しつつも…
(お茶会って…そういえばMad hatter's tea partyっていうのがあったよな。こいつの場合は…さしずめMad dog's tea partyといった所か?)
などと高耶が思ったことは、直江には内緒だ。



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『Bibliomania』様の「21000」を踏みキリリクで、頂きましたvv
しかも、三部作ッ!!直江の苦心(笑)をよそに堪能しましたv
直江の暴走を期待してしまいましたが…。表のキリ番でした…(^^ゞ
ふふふ♪今回のツボは『パジャマを半分こ♥』 …夢のようです!
高耶さんvv下半身よりも上半身を…隠したいんですか(///)v
そして、ステキに紅茶を語る直江〜ッ!!
最後の高耶さんの思考に笑いながら、続きへGO!です♪

2004.4.21

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