Mad dog's tea party
〜ユウウツな雨降り休日の過ごし方〜

- 3.ASSAM -


「何、怒ってんだ旦那は」
「ホント、やーねー。せっかくあたし達がこうして来てやったって言うのに、随分な出迎えようよね、景虎!」
「あ…ああ。直江、いい加減に機嫌直せよ!」

やはり来客は千秋と、綾子だった。
高耶が二人を出迎えてしまった為に、直江は仕方がなく一人でシャワーを浴び、着替えを済ませてきた。
そして、これ以上に無いほどに不機嫌な貌をしている。
「で、何の用だ」
用がないのなら、さっさと帰れと言わんばかりに言ってくる。こと高耶との事に関しては、全く大人げなくなる男だった。
「用ってほどではないが、景虎の家に電話したら美弥ちゃんがこっちに来ているって言ってたからさ。
わざわざ会いに来てやったんだよ」
わざわざ邪魔しに来たの間違いではないかとも思う直江だったが、それを指摘したところで高耶がからかわれるのは目に見えている。
そうなれば、せっかく治った機嫌なのに、また元の木阿弥だ。それでも、邪魔をされた恨みは隠しきれない。

「わざわざ俺の所に来るなんて、よほど暇な様だな。休日の相手が晴家しかいないとは、おまえも気の毒な男だ」
「何っ!」
「何ですって!!」
大人げない三人に頭を痛めるのは、高耶だった。二人が会いに来てくれたのは嬉しいが、ここまで直江を不機嫌にさせるのも少し可哀相な気もしてくる。直江は直江なりに、自分との時間を持ちたかったのだろうし…。
さっきみたいな事さえしなければ、高耶は直江との時間を過ごしたかったのだ。

『怠惰な休日』…何をするでもなく、ただ二人で同じ空間にいるだけでも良かった。
雨の音を聞きながら、直江と一緒にテレビを見たり、本を読んだり、話をしたり……その合間にキス…ぐらいはして、甘い時間を過ごすのもいいかな…とも思っていたのだ。
それに、さっきの紅茶は全て飲む前に零してしまった。
もう一度淹れ直してもらって、今度こそはゆっくりとお茶をしようとも思っていたのに…

「あ〜もうっ!千秋、ねーさん、ちょっと待ってろ!」
目の前で繰り広げられる口ゲンカにいい加減嫌気がさしてきた高耶は、キッチンへ行くと先ほどのカップを洗い始めた。

そして…

「はい、これはねーさんに。それからこっちは千秋」
「うわっ。ヘレンドの『ウィーンのバラ』!!」
「おおっ。レミーマルタンの『ニュー・エクストラ』!!」
「それ、持って帰ってもいいからさ…」
言外に帰ってくれと言っている。直江の方を振り返ってみると、少し引きつった貌はしているが、渋々頷いてみせた。
「ほら、直江もいいってさ。あいつの気が変わらないうちに持って行った方がいいんじゃないか?」

『そうさせて頂きますっ!!』

綺麗に二人の声がハモった。こういう時だけは、意気投合する様だ。
あれ程までに険悪だった直江にもにこやかな貌を見せると、二人は手にした物を大切そうに持ち、直江家を後にした。




「ごめん、直江…あれって大切なものだったか?」
「カップが2万、酒が3万。合計5万といった所ですね」
高耶の咽がなった。それほどまでに高価なものとは思わなかったのだ。
「直江、ごめん…勝手なことをして…だけど…」
「5万なんて安いですよ」
「え…」
「あなたとの時間が5万という意味です。そんなはした金で買えるのなら、私はいくらでも出しますよ。
否、あなたとの時間はとても金でなんか買えない。だから…」
「もういい、直江…」
言うと、高耶から口付けられていた。軽く触れるだけのキスだが。
「時間、勿体ないだろ。…タイダな休日の続き…シようぜ…」
「高耶さん…」



 雨降りの休日。
 晴れた日もいいが、たまにはこんな怠惰な日があってもいいかもしれない。
 何もしなくても、何かをしていても、二人で居るのには変わりがないのだから。




「ねえねえ、なんか上手くいきすぎて怖くない?」
「ん?大丈夫だろ。今頃きっと旦那の奴感謝しているぜ」
「なんで?」
「さっきの景虎見ただろ?邪魔しないで帰ってくれって貌してさ、こんな土産まで寄越しやがった。
今頃はよろしくやってんじゃねーの」
「そうねっ。今日は直江にこのカップちょうだいって、おねだりしにきたんだけど…景虎が居てくれてよかったわ〜」

キシシと笑い合う二人。

どうやら、この雨の恵を受けたのは直江達だけではなかったようだ。


……雨降りの休日に…乾杯!!



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 ケロさん、カウンター21000HITありがとうございますvv
頂いたお題は「高耶さんとすごす直江の怠惰な休日」もしくは「周囲に邪魔されまくる二人の休日」
だったのですが……い、いかがでしょうか;;
途中ヤバイ方向に行きかけたのは言うまでもありません(笑)
では、ありがとうございました♪
がじむ拝

ケロさんに溢れんばかりの愛と感謝を込めてvv
2004/04/20 Bibliomania



『Bibliomania』様の「21000」を踏みキリリクで、頂きましたvv 三部作・最終話♥
直江ッ!流石、太っ腹♪
三人の間に挟まれ、ちょっぴり苦労した高耶さん♪
ふふふ♪今回のツボは…この後の二人が気になりまくりです〜(>_<)vv
直江の希望どおりコトが進むのか、高耶さんが望むとおりにゆっくりと過ごせるのかッ?!
一番オイシイのは、千秋と綾子さんですか〜vv
がじむさん!!本当にありがとうございました♪
こんなにステキなお話を…(///)
元気になりますv (妄想界では直江のむにゃむにゃも元気に・)
頑張ってキリ番を張り込んでいた甲斐がありました!
こんなステキな小説を頂いたら、『もう、貴方のイヌと呼んでください』状態です♥
……迷惑・ですね…(^^ゞ

2004.4.21

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